ストレスチェックの50人未満への義務化施行日・対象・実施義務の範囲・報告の要否
答え
令和7年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場でも、ストレスチェックの実施が義務になります。厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルは、施行日を令和10年4月1日と記載しています。
- 時期:
- 令和10年4月1日から、50人未満の事業場も義務
- 対象:
- 労働者数50人未満の事業場(これまでは努力義務)
令和8年2月公表の厚生労働省マニュアルにもとづく内容です。
最終更新:
何がいつから変わるのか
ストレスチェック制度は平成27年に始まりましたが、労働者数50人未満の事業場は当分の間、努力義務とされていました。
令和7年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、事業場の規模にかかわらず実施が義務になります。厚生労働省のマニュアルは施行日を令和10年4月1日としています。
法律の条文上は「施行期日は公布後3年以内に政令で定める日」とされています。マニュアルに書かれた令和10年4月1日が、その政令で定められた日にあたります。
間違えやすい点:義務化はまだ先ですが、顧問先が50人未満ばかりという事務所では、対象事業所の数がいきなり増えます。実施体制を一から作る時間を見ておく必要があります。
何が義務で、何が努力義務か
「ストレスチェックが義務化される」と一括りにされがちですが、義務の範囲は部分ごとに違います。
- ストレスチェックの実施:義務(施行後は規模を問わず)
- 医師による面接指導:対象者から申出があった場合は実施する義務
- 集団分析・職場環境改善:事業場規模にかかわらず努力義務
- 労働者がストレスチェックを受けること:受検義務は課されていない
間違えやすい点:一般定期健康診断と違い、労働者にはストレスチェックを受ける義務がありません。就業規則で受検を義務づけ、受けない労働者を懲戒処分にすることは、法の趣旨に沿わないとされています。
労働基準監督署への報告は必要か
ストレスチェックの実施結果の労働基準監督署への報告は、労働者数50人以上の事業場に義務づけられています。労働者数50人未満の事業場では不要です。
ただし、報告の要否の基準となる「常時使用している労働者が50人以上」の数え方に注意が必要です。パートや派遣労働者も数え方によっては含まれ、50人以上となって報告が必要になる場合があります。
派遣労働者はどちらが実施するか
派遣労働者に対するストレスチェックは、派遣元に実施義務があります。一般定期健康診断と同じ扱いです。
小規模事業場での進め方
厚生労働省のマニュアルは、小規模事業場では社内の人員が限られることをふまえ、プライバシー保護の観点から外部機関に委託することを勧めています。
医師による面接指導は、地域産業保健センター(地産保)に依頼すると無料で受けられると記載されています。
実務を担当する者としては、衛生推進者または安全衛生推進者を選任することが望ましいとされています。
制度の目的を取り違えない
マニュアルは、ストレスチェックの目的を、本人のストレスへの気付きとセルフケアを促し、職場環境の改善につなげて、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことだと明示しています。
不調者を発見することが目的ではないと、はっきり書かれています。
間違えやすい点:「誰が高ストレスか会社が把握するための制度」と説明してしまうと、制度の趣旨から外れます。実施者と実施事務従事者には、罰則付きの守秘義務が課せられます。
よくある質問
- Q. 50人未満の事業場はいつから義務になりますか?
- A. 厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルは、施行日を令和10年4月1日と記載しています。根拠は令和7年5月14日に公布された改正労働安全衛生法です。
- Q. 労働基準監督署への報告は必要ですか?
- A. 労働者数50人未満の事業場では不要です。報告義務があるのは労働者数50人以上の事業場です。ただし、パートや派遣労働者の数え方によっては50人以上になる場合があるため、人数の確認が必要です。
- Q. 従業員にストレスチェックを受ける義務はありますか?
- A. ありません。一般定期健康診断と異なり、労働者には受検義務が課されていません。就業規則で受検を義務づけ、受けない労働者に懲戒処分を行うことは、法の趣旨に沿わないとされています。
- Q. 集団分析と職場環境改善も義務ですか?
- A. 努力義務です。事業場の規模にかかわらず努力義務とされています。実施そのものは義務ですが、集団分析と職場環境改善は努力義務という違いがあります。
- Q. 派遣社員のストレスチェックは派遣先と派遣元のどちらが行いますか?
- A. 派遣元に実施義務があります。一般定期健康診断と同じ扱いです。
- Q. 面接指導の費用は誰が負担しますか?
- A. 法が事業者に面接指導の実施の義務を課しているため、費用は事業者が負担します。なお小規模事業場では、地域産業保健センターに依頼すると無料で受けられるとマニュアルに記載されています。
出典
このページは、上記の行政機関が公表した資料に書かれている内容にもとづいて労務ソースが整理したものです。金額や料率は年度で変わります。実務でお使いの際は、必ず出典元で最新の内容をご確認ください。
