定期健康診断の義務と検査項目対象者・回数・11項目・医師の判断で省略できる基準
答え
事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、11項目について医師による健康診断を行わなければなりません(労働安全衛生規則第44条)。11項目のうち7項目は、厚生労働大臣が定める基準にもとづき、医師が必要でないと認めるときは省略できます。
- 時期:
- 1年以内ごとに1回
- 対象:
- 常時使用する労働者を使用するすべての事業者
最終更新:
定期健康診断の11項目
労働安全衛生規則第44条が定める項目です。★印の付いた項目は、基準にもとづき医師が必要でないと認めるときは省略できます。
- 1. 既往歴及び業務歴の調査
- 2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 3. 身長(★)、体重、腹囲(★)、視力及び聴力の検査
- 4. 胸部エックス線検査(★)及び喀痰検査(★)
- 5. 血圧の測定
- 6. 貧血検査(血色素量及び赤血球数)(★)
- 7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)(★)
- 8. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)(★)
- 9. 血糖検査(★)
- 10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
- 11. 心電図検査(★)
医師の判断で省略できる基準
省略できるのは、厚生労働大臣が定める基準(平成10年6月24日 労働大臣告示第88号)に当てはまる人について、医師が必要でないと認めたときだけです。主なものは次のとおりです。
- 身長:20歳以上の者
- 腹囲:40歳未満(35歳を除く)の者/妊娠中の女性その他、腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者/BMIが20未満である者/自ら腹囲を測定し申告した者(BMIが22未満の者に限る)
- 胸部エックス線検査:40歳未満のうち、5歳ごとの節目年齢(20歳、25歳、30歳、35歳)でなく、感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いておらず、じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象でもない者
- 喀痰検査:胸部エックス線検査を省略された者/胸部エックス線検査によって病変が発見されない者、または結核発病のおそれがないと診断された者
間違えやすい点:省略できるのは「定期健康診断」の場合だけです。雇入れ時の健康診断では、血液検査等の項目は必須で、省略できません。
省略の判断は一律に決められない
厚生労働省の資料は、診断項目の省略について、個々の労働者ごとに健康状態の経時的な変化や自覚症状・他覚症状等を勘案しながら判断することが大切だとしています。
つまり「40歳未満は一律に血液検査なし」といった運用は、基準の趣旨に沿いません。あくまで医師が個別に判断するものです。
平成30年4月から変わった点
平成29年8月4日基発0804第4号により、診断項目そのものは変えず、取扱いが一部変更になりました(平成30年4月から適用)。
- 血中脂質検査:LDLコレステロールの評価方法として、フリードワルド式によって総コレステロールから求める方法、またはLDLコレステロール直接測定法によることが示されました
- 血糖検査:空腹時または随時血糖の検査を必須とし、HbA1cのみの検査は認められません
- 尿検査等:医師が必要と認めた場合には、血清クレアチニン検査の追加が望まれます
間違えやすい点:血糖検査をHbA1cだけで済ませている健診機関を使っていると、法定の健康診断を実施したことになりません。契約前に項目を確認してください。
よくある質問
- Q. 定期健康診断はどのくらいの頻度で必要ですか?
- A. 1年以内ごとに1回です。労働安全衛生規則第44条が、常時使用する労働者に対して1年以内ごとに1回、定期に実施することを事業者に義務づけています。
- Q. パートやアルバイトも対象ですか?
- A. 対象は「常時使用する労働者」です。雇用形態の名称ではなく、実際の働き方で判断します。個別の判断は所轄の労働基準監督署にご確認ください。
- Q. 血液検査は省略できますか?
- A. 定期健康診断では、厚生労働大臣が定める基準にもとづき、医師が必要でないと認めるときは省略できます。たとえば血液検査は40歳未満(35歳を除く)の者が基準に挙げられています。ただし雇入れ時の健康診断では省略できません。
- Q. 雇入れ時の健康診断と定期健康診断はどう違いますか?
- A. 雇入れ時の健康診断では、血液検査等の項目が必須で省略できません。また胸部の検査は、雇入れ時は胸部エックス線検査のみとなっています。
- Q. 健康診断の結果はどれくらい保存しますか?
- A. 健康診断の結果の記録を作成し、5年間保存する必要があります。
出典
このページは、上記の行政機関が公表した資料に書かれている内容にもとづいて労務ソースが整理したものです。金額や料率は年度で変わります。実務でお使いの際は、必ず出典元で最新の内容をご確認ください。
