外国人を雇用する事業場の労務管理に関する情報です。厚生労働省は2026年9月15日、外国人技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業場に対して行った令和7年の監督指導、送検等の状況を公表しました。社労士・人事労務担当者が顧問先の点検を行ううえで、押さえておきたい発表です。
厚生労働省が令和7年の監督指導・送検等の状況を公表
今回の公表は、外国人技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業場を対象として労働基準監督機関が行った監督指導や送検等の状況を取りまとめたものです。件数の内訳や違反事項の区分など、具体的な数値・分析の内容は公表資料に記載されていますので、詳細は出典をご確認ください。
この種の公表資料は、監督指導でどのような点が確認されているのかを把握する手がかりになります。顧問先に外国人を受け入れている事業場がある場合は、公表資料の内容を確認したうえで、自社の運用が資料で示された指摘事項に該当していないかを点検する材料として活用できます。
外国人を使用する事業場で点検しておきたい労務管理の観点
公表資料の内容を確認する際は、あわせて日常の労働時間管理や賃金計算の運用状況を見直しておくと、社内での説明がしやすくなります。実務上、確認の切り口としては次のような点が挙げられます。なお、どの項目が実際に指摘の中心となっているかは公表資料の記載によりますので、必ず原典とあわせてご確認ください。
- 労働条件通知書の交付内容と、実際の勤務実態が一致しているか
- 始業・終業時刻の記録方法など、労働時間管理の実務が整っているか
- 時間外・休日労働に対する割増賃金の計算方法に誤りがないか
- 36協定の締結・届出の状況と、協定した時間の範囲内で運用できているか
- 就業規則や賃金規程の内容が、現在の運用と整合しているか
- 年次有給休暇の付与・取得管理が適切に行われているか
外国人を雇用する事業場では、説明資料や社内ルールの伝え方についても運用上の工夫が求められる場面があります。顧問先での点検にあたっては、書面の整備状況だけでなく、現場で実際にどう運用されているかまで確認しておくと実態とのズレを把握しやすくなります。
派遣元事業主に対する労働者派遣事業改善命令も同日に公表
厚生労働省は同じ2026年9月15日、派遣元事業主に対する労働者派遣事業改善命令についても公表しています。対象となった事業主や命令の理由、命令の内容といった具体的な事項は公表資料に記載されていますので、こちらも詳細は出典をご確認ください。
労働者派遣法に基づく行政処分の公表は、派遣元・派遣先の双方にとって、自社の運用を振り返る機会になります。顧問先が派遣事業を行っている場合や派遣労働者を受け入れている場合は、公表内容を確認したうえで、契約書類や管理台帳の整備状況、社内の管理体制について点検を促しておくとよいでしょう。
実務担当者が次に確認すべきこと
今回の2件の公表を受けて、社会保険労務士および人事労務担当者が次に確認したい事項を整理します。
- 厚生労働省の公表資料本体を確認し、監督指導・送検等の状況の具体的な内容を把握する
- 外国人を受け入れている顧問先をリストアップし、労働条件通知書・就業規則・36協定など基本書類の整備状況を確認する
- 労働時間の記録方法と割増賃金の計算過程について、直近の賃金計算を1か月分抽出して検証する
- 派遣事業に関わる顧問先には、改善命令の公表内容を共有し、社内の管理体制の点検を案内する
- 公表資料に数値や基準が示されている部分は、伝聞ではなく原典の記載に基づいて顧問先に説明する
いずれの公表も、新たな制度改正を伴うものとしては案内されていません。まずは公表内容を正確に把握し、顧問先の実態と照らして必要な是正点がないかを確認する対応が中心になります。

