厚生労働省は2026年9月15日、「派遣元事業主に対する労働者派遣事業改善命令について」と題する情報を公表しました。労働者派遣法に関わる行政処分の公表であり、派遣事業を行う顧問先を持つ社労士・人事労務担当者にとって、自社の運用体制を点検する契機となる発表です。

公表の内容と確認できる範囲

今回の公表は、厚生労働省が派遣元事業主に対して行った労働者派遣事業の改善命令に関するものです。対象となった事業主、命令の理由、命令の具体的な内容といった個別の事項については、本記事作成時点で参照できる情報が表題にとどまるため、詳細は出典をご確認ください

行政処分の公表事案は、どのような運用が問題視されたのかを読み取る手がかりになります。記事や二次的な解説ではなく、厚生労働省が公表した原文を確認し、命令の対象範囲と指摘事項を正確に把握することが出発点になります。

労働者派遣法をめぐる社労士の実務対応

派遣元事業主を顧問先に持つ場合、行政処分の公表を受けて、まずは自社・顧問先の体制が公表事案と同種の論点を抱えていないかを確認する流れが考えられます。労務管理の観点から、次のような点を顧問先と一緒に棚卸ししておくと、指摘を受けた際の対応が後手になりにくくなります。

  • 労働者派遣事業の許可に関する情報(許可番号・有効期間・変更事項の届出状況)が最新の内容で管理されているか
  • 派遣労働者に交付・明示している書類の様式が、社内で統一されて運用されているか
  • 派遣契約に関する書類や管理台帳が、営業担当者任せにならず一元的に保管されているか
  • 派遣労働者からの相談・苦情の受付ルートと記録が整備されているか
  • 就業規則や賃金規程が、派遣労働者の就業実態と整合しているか

なお、これらは一般的な体制点検の観点であり、今回の命令で具体的に何が指摘されたかは公表資料に基づいて確認する必要があります。推測で対応方針を固めるのではなく、原文の記載に沿って整理することが重要です。

顧問先への案内と社内周知のポイント

派遣元事業主だけでなく、派遣労働者を受け入れている派遣先企業にとっても、取引先である派遣元の法令遵守状況は無関係ではありません。人事労務部門としては、派遣元から提出される書類の内容や、受け入れ部署での労働時間管理・安全衛生上の配慮が適切に行われているかを、あらためて確認しておく余地があります。

実務担当者が次に確認すべき事項を整理すると、以下のとおりです。

  • 厚生労働省が公表した原文で、改善命令の対象事業主と命令内容を確認する
  • 顧問先が派遣元事業主である場合、許可関係書類・各種台帳・明示書類の整備状況を点検する
  • 顧問先が派遣先である場合、受入部署の管理体制と派遣元との書類のやり取りを確認する
  • 点検結果を踏まえ、必要に応じて社内ルールや就業規則・賃金規程の見直しを検討する

行政処分の公表は、同業種の事業者に対して運用の見直しを促す性格を持ちます。労働者派遣法に関する体制整備は一度で完了するものではないため、定期的な確認のスケジュールに組み込んでおくことが実務的です。