厚生労働省は2026年9月18日、「毎年10月は中小企業退職金共済制度の『加入促進強化月間』です」とする情報を公表しました。中小企業退職金共済制度(中退共)は名称のとおり中小企業を対象とした退職金共済制度で、社労士・社会保険労務士や人事労務の担当者にとっては、顧問先の退職金制度を点検するきっかけとなる周知情報です。
厚生労働省が公表した内容
今回の公表は、毎年10月を中小企業退職金共済制度の「加入促進強化月間」として位置づけ、制度への加入を促すことを周知する内容です。加入要件、掛金の額、国の助成の有無、申込手続の方法といった制度の具体的な取扱いについては、本記事で補って説明することはできませんので、詳細は出典をご確認ください。
なお、厚生労働省の公表は月間の実施に関する周知であり、法令の改正や施行日が示されたものではありません。顧問先へ案内する際も、制度変更があったかのような伝え方にならないよう留意が必要です。
社労士が顧問先で確認したい退職金と就業規則の整合
加入促進強化月間は、顧問先の退職金まわりの書類を点検する実務上の好機です。労務管理の観点からは、次のような点を順に確認しておくと、後日の労使トラブルを避けやすくなります。
- 就業規則(退職金規程・賃金規程)に退職金に関する定めがあるか、実際の運用と食い違っていないか
- 退職金制度を設けている場合、支給対象者の範囲・勤続年数・計算方法の記載が明確か
- パートタイム労働者や有期雇用労働者を対象に含めるか否かが、規程上はっきりしているか
- 労働条件通知書や労働契約書に退職金の有無をどう記載しているか
- 制度を新設・変更する場合の、就業規則の変更手続と労働者への周知の段取り
退職金制度の新設や変更は、就業規則の記載事項に直結します。顧問先から「中退共への加入を検討したい」と相談を受けた段階で、規程の改定案と手続のスケジュールをあわせて示せるよう、準備しておくと対応がスムーズです。
実務担当者が次に確認すべきこと
社労士事務所・人事労務担当者が10月に向けて整理しておきたい確認事項は次のとおりです。
- 厚生労働省の公表ページで、加入促進強化月間の趣旨と案内されている手続を確認する
- 中退共の加入要件・掛金・助成の取扱いなど、制度の具体的内容を必ず一次情報で確認したうえで顧問先に案内する
- 退職金制度を持つ顧問先について、就業規則・賃金規程・労働条件通知書の記載の整合を点検する
- 退職金制度が未整備の顧問先には、制度設計と規程整備がセットで必要になる点をあらかじめ伝えておく
- 案内を出す時期を10月にあわせ、年末の労務手続と重ならないようスケジュールを組む
今回の公表は制度改正ではありませんが、退職金は労働条件の重要な要素であり、規程の不備が後の紛争につながりやすい分野です。月間を機に、顧問先ごとの整備状況を棚卸ししておくことをおすすめします。

