厚生労働省は2026年8月21日、「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和7年)」を公表しました。労働基準監督署の監督指導によって賃金不払残業(いわゆる未払いの割増賃金)が是正された状況をまとめたもので、労働時間管理や割増賃金の実務に関わる社労士・人事労務担当者にとって、顧問先への注意喚起の材料となる資料です。
あわせて同日、厚生労働省は「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和7年)を公表します」も発表しています。さらにその2日前の2026年8月19日には、「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」が公表されており、賃金不払・長時間労働に関する行政の対応状況と今後の進め方が、短期間に相次いで示された形です。
監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和7年)の位置づけ
「監督指導による賃金不払残業の是正結果」は、労働基準監督署が事業場に対して行った監督指導の結果、賃金不払残業が是正された事案を取りまとめて公表するものです。令和7年分が2026年8月21日に厚生労働省から公表されました。
是正件数や支払われた割増賃金の額、業種別の内訳などの具体的な数値については、本記事執筆時点で参照した一次情報からは確認できません。件数・金額・業種別の内訳といった詳細は、厚生労働省が公表した資料本体をご確認ください。推測での引用は、顧問先への説明資料としても避けたいところです。
賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果も同日公表
同じ2026年8月21日、厚生労働省は「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和7年)」も公表しています。こちらは、賃金不払が疑われる事業場を対象として実施された監督指導の結果をまとめたものです。
賃金不払残業の是正結果と、賃金不払が疑われる事業場への監督指導結果が同日に示されたことから、賃金支払いに関する行政の監督指導の全体像を、2つの資料を並べて確認できる構成になっています。具体的な指導内容や結果の数値は、それぞれの公表資料に記載されています。
時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導の見直し
厚生労働省は2026年8月19日、「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」を公表しました。時間外労働等に関する相談・支援の枠組みと、監督指導のあり方を見直す内容とされています。
見直しの具体的な内容、対象、開始時期については、参照した一次情報の見出し情報からは詳細が確認できないため、実際の運用に関わる部分は厚生労働省の公表資料でご確認ください。時間外労働は、労働基準法上の36協定の締結・届出や、割増賃金の適正な支払いと直結するテーマであり、監督指導の運用が変われば、顧問先での準備の優先順位にも影響しうる論点です。
社労士・人事労務担当者が次に確認すべきこと
今回の3件の公表を踏まえ、実務として確認しておきたい点を整理します。いずれも、まずは公表資料の原文にあたることが前提です。
- 公表資料の数値を原典で確認する:是正件数・金額・業種別内訳などは、厚生労働省の公表資料本体から引用する。
- 労働時間管理の実態を点検する:始業・終業時刻の記録方法、自己申告制を採っている場合の運用実態、記録と実態の乖離の有無。
- 割増賃金の計算根拠を確認する:賃金規程・就業規則上の計算方法と、実際の支給内容が一致しているか。
- 36協定の内容と運用を照合する:届出済みの協定の限度時間と、実際の時間外労働の状況が整合しているか。
- 見直しの内容を継続的に確認する:時間外労働等に係る相談・支援および監督指導の見直しについて、厚生労働省からの続報や詳細資料を追う。
賃金不払残業は、労働時間管理の不備や割増賃金の計算誤りから生じることが少なくない領域です。顧問先に対しては、公表された事実関係を正確に伝えたうえで、自社の労働時間管理と賃金計算の実態を点検する機会として案内するとよいでしょう。

