社会保険の適用拡大に関する調査結果が公表されました。労働政策研究・研修機構(JILPT)は2026年8月26日、調査シリーズNo.268『「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び「働き方に関するアンケート調査」(労働者Web調査)結果』を発行したと公表しています。社労士や人事労務の担当者にとって、顧問先の実態把握や説明資料の裏付けとして参照しやすい調査です。
JILPTが調査シリーズNo.268を発行 社会保険の適用拡大がテーマ
JILPTの公表によれば、今回の調査シリーズNo.268は、企業を対象とした郵送調査と、労働者を対象としたWeb調査の2つの調査結果をまとめたものです。企業側の調査は「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」、労働者側の調査は「働き方に関するアンケート調査」と題されています。
調査の設計や対象、回収状況、集計結果の具体的な数値については、本記事の一次情報である公表ページに掲載されている報告書本体で確認する必要があります。個別の調査項目や数値は本稿では取り上げていませんので、詳細は出典をご確認ください。
企業郵送調査と労働者Web調査の二本立てという構成
本調査シリーズの特徴は、社会保険の適用拡大という同一のテーマについて、企業側の対応状況と労働者側の働き方の両面から把握しようとしている点にあります。企業に対しては適用拡大への対応状況等を、労働者に対しては働き方に関する意識や実態を尋ねる構成です。
労務管理の現場では、短時間労働者の社会保険加入をめぐって、企業側の人件費や要員配置の判断と、労働者側の就業時間に関する希望が交錯します。企業調査と労働者調査を突き合わせて読むことで、双方の認識のずれを確認する材料になり得ます。ただし、各調査でどのような設問が設けられ、どのような傾向が示されたかは報告書本体に拠るため、引用の際は必ず原典の記載を確認してください。
社労士・人事労務担当者が確認したい実務ポイント
今回の公表は法改正そのものではなく、調査研究成果の発行です。そのため、直ちに手続きや届出が変わるものではありませんが、顧問先への情報提供や社内検討の資料として活用が想定されます。実務上、次のような観点で読み込むことが考えられます。
- 報告書の調査時点と対象範囲(企業規模・業種・雇用形態など)がどこまで設定されているか
- 企業郵送調査で扱われている「対応状況等」の具体的な項目
- 労働者Web調査で把握されている働き方に関する項目
- 自社・顧問先の状況と比較する際に、前提条件が揃っているか
短時間労働者を多く雇用する顧問先では、社会保険の適用拡大に関する社内説明や就業規則・賃金規程の整理、労働条件通知書の記載内容、労働時間管理の運用などが論点になりやすい分野です。調査結果を参照する場合も、制度の適用関係そのものは健康保険法・厚生年金保険法などの法令および行政の通知に基づいて確認する必要があります。
次に確認すべきこと
実務担当者としては、まずJILPTの公表ページから報告書本体を入手し、調査時点・対象・設問内容を確認することが出発点になります。そのうえで、顧問先の短時間労働者の就業実態や、被扶養者の範囲・標準報酬月額に関する社内の照会対応、算定基礎届や月額変更届といった定例手続の運用に照らし、説明資料として使える部分を整理すると活用しやすくなります。数値を引用する際は、必ず報告書の記載どおりに引用し、調査の限界にも触れる形で用いることが望ましいでしょう。

