東京労働局は2026年9月1日、「東京都最低賃金を1,280円に引上げます」と発表しました。あわせて同日、最低賃金と各種助成金の周知を強化する「最低賃金・各種助成金周知強化期間」として、さいちんキャンペーン(TOKYO1280)を実施することも公表しています。都内に事業場を持つ顧問先を担当する社会保険労務士にとって、賃金水準の点検と就業規則・賃金規程の見直しが必要になる発表です。
東京労働局が東京都最低賃金1,280円への引上げを発表
今回の発表は、東京労働局が2026年9月1日付で公表した報道発表によるもので、東京都最低賃金を1,280円に引き上げるという内容です。東京都最低賃金は、都内で働くすべての労働者とその使用者に適用される地域別最低賃金であり、パート・アルバイト、有期契約労働者、学生アルバイトを含めて、時間額がこの水準を下回る賃金での労働契約は認められません。
なお、発効日や引上げ額・引上げ率、審議の経過などの詳細な数値については、本記事の作成に用いた一次情報の見出しに記載されている範囲を超えるため、詳細は出典をご確認ください。実務では、発効日を正確に押さえたうえで、その日以降に支払われる賃金が新しい水準を満たしているかを確認する必要があります。
「さいちんキャンペーン(TOKYO1280)」による周知強化
東京労働局は同じ2026年9月1日、「最低賃金・各種助成金周知強化期間を実施します ~さいちんキャンペーン(TOKYO1280)~」を発表しました。最低賃金の改定内容の周知と、事業主が活用できる各種助成金の周知を集中的に行う取組であると位置づけられています。
キャンペーンの実施期間、具体的な周知手段、対象となる助成金の名称や支給要件については、一次情報でご確認ください。最低賃金の引上げに対応するための助成金は、申請時期や事前の計画提出が要件となる場合があるため、顧問先に案内する際は、募集状況と要件を発表元の情報で必ず確認したうえで説明することが望まれます。
賃金水準の点検で確認すべきポイント
最低賃金の改定に対応する際、実務上は次の点を順に確認していくことになります。
- 発効日の確認:東京労働局の発表で発効日を確認し、いつ支払われる賃金から新水準が適用されるかを特定する。
- 時間額への換算:月給制・日給制の労働者について、所定労働時間で割り戻した時間額が1,280円を下回らないかを確認する。
- 算入されない賃金の整理:最低賃金の比較に含める賃金と含めない賃金の取扱いを確認し、諸手当を単純に合算して判断しないようにする。
- 雇用形態を問わない点検:パート・アルバイト、有期契約、短時間勤務者など、時間額が最低賃金に近い層を優先的に洗い出す。
- 規程類の改定:賃金規程や賃金テーブル、募集・求人票の時間額表示を新水準に合わせて修正する。
- 近隣県との比較:都県境をまたいで勤務する労働者がいる場合、適用される地域別最低賃金がどこになるかを整理する。
顧問先への案内で押さえておきたい実務対応
賃金の引上げは、時間外労働の割増賃金の単価や、賞与・退職金の算定基礎にも波及する可能性があります。時間額の見直しにとどまらず、給与計算システムの単価設定の更新、社会保険の標準報酬月額に影響が生じ得るケースの把握まで含めて、スケジュールを立てて進めることが実務上の負担軽減につながります。
まずは、東京労働局が公表した東京都最低賃金の発効日と、さいちんキャンペーン(TOKYO1280)で案内される助成金の内容を一次情報で確認し、顧問先ごとに影響を受ける労働者の人数と改定額を試算するところから着手するとよいでしょう。

