厚生労働省は2026年8月31日、同省ホームページの新着情報において「労働災害発生状況」に関する情報を公表しました。労働災害の発生状況は、労働安全衛生法に基づく社内の安全衛生管理や、労災保険法の手続対応を点検するうえで基礎となる情報であり、社労士や人事労務の担当者が定期的に確認しておきたい資料です。

厚生労働省が公表した「労働災害発生状況」の概要

今回の公表は、厚生労働省の労働基準行政に関するページのうち、労働災害発生状況を掲載するページとして案内されたものです。掲載されている具体的な集計期間、死亡災害・休業4日以上の死傷災害の件数、業種別・事故の型別の内訳などの数値については、本記事では扱いません。件数や増減率などの具体的な数値は、厚生労働省の公表資料そのものに掲載されているため、詳細は出典をご確認ください。

労働災害発生状況は、行政が公表する統計として、企業の安全衛生活動の方向性を検討する際の参考情報になります。自社や顧問先の業種に近い区分の傾向を確認し、社内で共有する使い方が考えられます。

労働安全衛生法の観点から点検したい社内体制

労働災害の発生状況を確認したあとは、自社の管理体制が実態に合っているかを点検する機会になります。人事労務の担当者が社内で確認しやすい観点として、次のような項目が挙げられます。

  • 労働安全衛生法に基づく安全衛生管理体制(選任すべき担当者の選任状況、届出の有無)が現状の事業場の規模・業種に合っているか
  • 安全衛生教育や作業手順の周知が、新規採用者・配置転換者にも行われているか
  • 就業規則や社内規程に定めた安全衛生に関する条項が、実際の運用と一致しているか
  • 長時間労働が災害リスクにつながっていないか、労働時間管理や36協定の運用状況に無理がないか
  • ヒヤリハットや実際に発生した事故について、社内で記録・共有する仕組みがあるか

これらは労働災害発生状況の公表に直接連動する義務ではありませんが、公表情報を社内点検のきっかけとして活用する方法です。

労災が発生した場合の手続と顧問先への周知

実際に労働災害が発生した場合、労災保険法に基づく給付請求のほか、労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告などの手続が関係します。顧問先に対しては、災害発生時に誰が・どの順序で対応するかをあらかじめ整理しておくよう案内しておくと、発生後の対応が滞りにくくなります。手続の様式や提出先、電子申請の可否については、厚生労働省および所轄労働基準監督署の案内を確認してください。

実務担当者が次に確認すること

  • 厚生労働省が公表した労働災害発生状況の原資料を確認し、集計期間と対象範囲を把握する
  • 自社・顧問先の業種に該当する区分の傾向を、安全衛生委員会や朝礼などで共有する
  • 安全衛生管理体制、安全衛生教育、就業規則の関連条項に見直すべき点がないか点検する
  • 労働災害発生時の社内連絡フローと、労災保険の給付請求・労働者死傷病報告の担当者を確認する

数値を引用して社内資料や顧問先向け資料を作成する場合は、必ず厚生労働省の公表資料の原文にあたり、集計時点と対象範囲を明記したうえでご利用ください。